合鍵を作りにいったら、「これは時間がかかりますね」「後日お渡しになります」と言われて、驚いた経験はありませんか? すぐにできると思っていたのに、なぜ時間がかかってしまうのでしょうか。それには、鍵の種類や状態に応じた、いくつかの理由があります。時間がかかる最も大きな理由は、「鍵の構造が複雑である」ことです。特に、防犯性の高いディンプルキーは、表面や側面に多数の精密なくぼみがあり、これを正確に再現するには高性能な専用機械と熟練の技術が必要です。一般的なギザギザの鍵のように、短時間で簡単に複製することはできません。少しのズレが鍵の動作不良につながるため、慎重な作業が求められ、結果として時間がかかります。特殊な形状を持つ外国製の鍵なども同様に、複製難易度が高く時間がかかる傾向があります。次に、「メーカーへの発注が必要である」ケースです。特にセキュリティレベルの高い鍵の中には、メーカーが特許を取得していたり、所有者情報を登録して管理している「登録制」を採用していたりするものがあります。これは、不正な合鍵作成を防ぐための仕組みであり、街の合鍵店では複製できないように設計されています。このような鍵の合鍵が必要な場合は、メーカーや正規代理店にキーナンバーなどを提示して、純正の合鍵を取り寄せる必要があります。メーカーでの受注生産となるため、手元に届くまでには数週間単位の時間がかかります。また、ディンプルキーなどでも、より高い精度を保証するために、お店がメーカーから純正のキーブランク(加工前の鍵)を取り寄せてから作成する場合があり、その取り寄せ期間だけ時間がかかります。「元となる鍵の状態が悪い」場合も、時間がかかる要因となり得ます。元鍵がひどく摩耗していたり、変形していたりすると、それを元に正確なコピーを作るのが難しくなります。場合によっては、鍵穴から情報を読み取って新しい鍵を作成する、といった特殊な作業が必要になり、時間と費用がかさむことがあります。車の鍵、特にイモビライザー搭載のスマートキーの場合も、鍵の複製だけでなく、車両コンピューターへの登録作業という専門的な工程が必要になるため、ディーラーに依頼しても数時間から数日、あるいはそれ以上かかることが一般的です。このように、合鍵作成に時間がかかるのには、その鍵の持つ高い精度やセキュリティを守るための理由があるのです。