あれは忘れもしない、終電間際まで友人と飲んで帰宅した深夜のことでした。マンションのドアの前で鍵を探したのですが、カバンにもポケットにも見当たりません。酔いも手伝って焦りはピークに達し、記憶を辿ってもどこで落としたのか全く思い出せません。唯一の望みは管理会社でした。幸い、緊急連絡先の番号は控えていたので、震える手で電話をかけました。電話口に出たのは警備会社の担当者のようで、事情を説明すると、「申し訳ございませんが、深夜の鍵開け対応は行っておりません。防犯上の理由と、マスターキーの管理規定により、営業時間外の対応は致しかねます」と、非常に丁寧ながらもきっぱりと断られてしまいました。「提携している鍵業者をご紹介しましょうか?」と言われましたが、深夜料金で高額になることは目に見えています。とはいえ、他に選択肢もなく、紹介された鍵業者に連絡しました。到着まで約40分、寒い廊下でひたすら待ちました。ようやく到着した作業員の方は手際よく鍵を開けてくれましたが、請求された金額は予想通りの高額でした。翌日、管理会社に改めて連絡し、鍵の紛失届とシリンダー交換の手続きを行いました。これもまた別途費用がかかり、痛い出費となりました。この一件で、管理会社は万能ではないこと、そして深夜の鍵トラブルがいかに大変かを身をもって知りました。それ以来、鍵にはキーホルダーをつけ、カバンの定位置に入れるように心がけています。管理会社を頼る前に、まずは自分で鍵をなくさない工夫が何より大切だと痛感した夜でした。