自宅やオフィスや倉庫の鍵について、いざ合鍵を作ろうとしたのに断られてしまった、という経験をしたことはありませんか。近年、防犯意識の高まりとともに、簡単に合鍵を作ることができないというタイプの鍵が増えています。これらの鍵は、その構造の複雑さやメーカーによる厳格な管理体制によって、第三者による不正な複製を防いでいます。代表的なものとしては、表面に多数の小さなくぼみ（ディンプル）があるディンプルキーが挙げられます。従来のギザギザした鍵とは異なり、ピンの配置が水平方向だけでなく垂直方向にも及ぶなど、構造が非常に複雑になっています。そのため、一般的な合鍵屋さんにあるような機械では精密な複製が極めて困難になってしまいます。また、メーカーによっては特許によって保護されており、そもそも純正キー以外は流通しないように管理されています。電子錠やカードキー、スマートロックなども、物理的な鍵穴がない、あるいは特殊な認証システムを採用しているため、従来の合鍵作成の概念自体が当てはまりません。これらの鍵は、物理的な複製ではなく、システムへの登録や設定変更といった手続きが必要になってしまいます。このように、合鍵が作れない鍵は、高度な技術や管理体制によって守られており、それが高い防犯性能につながっています。しかし、その反面、鍵を紛失した場合の再発行には時間や手間がかかるという側面も理解しておく必要があるでしょう。