トイレの鍵が閉まらない原因を探る中で、鍵や錠前自体には問題が見当たらないのに、どうしても閉まりにくい、あるいは引っかかってしまう、という場合があります。そんな時は、「ドアやドア枠の歪み(建付けの問題)」を疑ってみる必要があります。建物は、経年変化や湿度の影響、あるいは地震などによって、わずかに歪むことがあります。特に、トイレや洗面所など湿気が多い場所のドアは、木材が膨張したり収縮したりして、歪みが生じやすい傾向があります。ドアやドア枠が歪むと、ドア本体とドア枠の間に隙間ができたり、逆にドアが枠にこすれるようになったりします。その結果、ドアがスムーズに閉まらなくなったり、ラッチボルトとストライク(受け座)の位置が大きくずれて、鍵がかからなくなったりするのです。建付けの問題かどうかをチェックするには、まずドアをゆっくりと開閉させてみましょう。ドアのどこか特定の箇所が、ドア枠に擦れているような感触はありませんか? ドアを閉めた状態で、ドアとドア枠の隙間が上下左右で均一になっているか、あるいは極端に狭い部分や広い部分がないかを確認します。メジャーなどを使って測ってみると、より正確に歪みを把握できます。また、ドアを吊っている蝶番(ちょうつがい)部分に異常がないかも確認しましょう。蝶番のネジが緩んでいたり、蝶番自体が変形したりしていると、ドアが傾いてしまう原因になります。もし、明らかにドアが傾いていたり、ドア枠との隙間が不均一だったりする場合は、建付けの問題が原因である可能性が高いです。軽微な歪みであれば、自分で対処できる場合もあります。例えば、蝶番のネジを締め直す、蝶番とドア(またはドア枠)の間に薄い板や厚紙(ワッシャーの代わり)を挟んで傾きを調整するといった方法です。しかし、これらの調整は微妙なさじ加減が必要であり、下手にいじるとかえって状況を悪化させる可能性もあります。また、ドア自体の反りや、ドア枠の大きな歪みが原因の場合は、専門的な調整や修理、場合によってはドア自体の交換が必要になります。建付けの問題が疑われる場合は、無理に自分で直そうとせず、工務店やリフォーム業者、建具屋さんなどの専門家に相談することをお勧めします。