うっかりでは済まなかった鍵閉め忘れからの教訓


「まさか自分が…」多くの人がそう思うでしょう。私もそうでした。玄関の鍵を閉め忘れるなんて、ありえないと。しかし、その「まさか」は、ある日の午後に現実のものとなりました。その日は午前中に少し体調が悪く、仕事を早退して自宅で休んでいました。昼過ぎに少し回復したので、気分転換も兼ねて、近所のコンビニまで歩いて買い物に出かけたのです。ほんの15分程度の外出でした。帰宅して玄関のドアノブに手をかけると、鍵がかかっていないことに気づきました。「あれ?閉め忘れたかな…まあ、すぐ近くだったし大丈夫だろう」。そう軽く考えて家の中に入った瞬間、異変に気づきました。リビングの引き出しがわずかに開いており、普段とは違う場所にリモコンが置かれていました。そして、寝室のクローゼットの扉が半開きになっていたのです。血の気が引きました。急いで財布や貴重品を確認すると、幸い現金やカード類は無事でしたが、引き出しに入れていた予備の財布に入れてあった数千円と、引き出しの奥にしまっていたはずの、亡くなった祖母からもらった小さなアクセサリーケースが見当たりませんでした。すぐに警察に連絡し、状況を説明。現場検証の結果、やはり私がコンビニに行っているわずかな間に、無施錠の玄関から侵入されたのだろう、ということでした。被害額自体はそれほど大きくありませんでしたが、見知らぬ誰かが自分のプライベートな空間に侵入し、物を物色したという事実が、何よりも精神的に大きなショックでした。何日も、家の中にいても落ち着かず、夜も物音に敏感になってしまいました。あの時、体調が悪かったとはいえ、「ちょっとそこまでだから」と油断して鍵をかけなかった自分の甘さが招いた結果です。数百円の買い物で失ったのは、数千円と形見の品、そして何よりも「安全だ」という安心感でした。この苦い経験から、私は鍵の閉め忘れ防止対策を徹底するようになりました。指差し呼称での確認はもちろん、外出先からでも施錠状態が確認できるスマートロックを導入しました。もう二度とあんな思いはしたくありません。この体験談が、皆さんの防犯意識を高める一助となれば幸いです。「ちょっとだけ」の油断が、取り返しのつかない事態を招く可能性があることを、どうか忘れないでください。