トイレの鍵として広く使われているタイプに、「表示錠」または「間仕切り錠」と呼ばれるものがあります。これは、室内側のつまみ(サムターン)やボタンで施錠し、室外側には鍵穴がなく、代わりに「空室(青や緑など)」「使用中(赤など)」といった表示が出る窓が付いているのが特徴です。また、多くの場合、室外側からコインやマイナスドライバーなどで開けられる非常解錠装置が備わっています。この表示錠特有の理由で、鍵が閉まらなくなる、あるいは別の不具合が発生することがあります。よくあるトラブルの一つが、「表示窓の色が変わらない、あるいは中途半端な状態で止まってしまう」ケースです。内側で施錠操作をしても、外側の表示が「空室」のままだったり、赤と青の中間で止まったりすることがあります。これは、内部の表示切替えメカニズムに不具合が生じている可能性が考えられます。ゴミが詰まっていたり、部品が摩耗していたりする場合があります。また、「内側の施錠つまみ(サムターン)やボタンが固い、あるいは戻らない」というトラブルもあります。施錠しようとしてもつまみが固くて回らない、ボタンが押し込めない、あるいは施錠後にボタンが戻らず、解錠できなくなるといった状況です。これも、内部機構の汚れやサビ、部品の劣化や破損が原因として考えられます。さらに、「施錠操作はできるのに、実際にはラッチが動かずドアが固定されない」というケースもあります。これは、施錠操作とラッチの動きを連動させる内部の部品が破損している可能性が高いです。これらの表示錠特有のトラブルに対して、自分でできる対処法は限られています。まずは、他の鍵トラブルと同様に、ネジの緩みがないか確認し、締め直してみましょう。また、表示窓の周辺や、サムターン・ボタンの隙間に汚れが溜まっていないか確認し、清掃してみるのも有効です。しかし、内部機構の不具合が原因である場合は、分解修理が必要となりますが、表示錠の内部構造は複雑なため、専門知識がないと元に戻せなくなってしまうリスクが高いです。潤滑剤の使用も、かえって状況を悪化させる可能性があるため、慎重に行うか、避けた方が無難です。表示錠の不具合で鍵が閉まらない、あるいは動作がおかしい場合は、無理にいじらず、錠前ごと交換するか、専門業者に相談することを強くお勧めします。