あの日の冷や汗スマートキー電池切れと物理キー初体験記


忘れもしない、あれは真夏の暑い日のことでした。ショッピングモールの広大な駐車場で買い物を終え、大量の荷物を抱えて愛車に戻った私は、いつものようにスマートキーでドアを開けようとドアノブに手を触れました。しかし、ウンともスンとも言いません。あれ?と思い、ポケットを探ってスマートキーを取り出し、ボタンを押してみても全く反応なし。メーターパネルには「キーが見つかりません」という無情なメッセージが表示されていました。そうです、スマートキーの電池切れです。よりによってこんな時に、しかも予備の電池なんて持っているはずもありません。途端に額から冷や汗が吹き出してきました。周りには同じように車に戻る人がちらほらいますが、助けを求めるのも気が引けます。レッカーを呼ぶしかないのか…と諦めかけたその時、ふとスマートキーに内蔵されている「物理的な鍵」の存在を思い出しました。納車時にディーラーの営業さんが「万が一の時に使います」と説明してくれたのを、朧げながら覚えていたのです。慌ててスマートフォンのライトを頼りに、スマートキー本体をいじってみると、小さなレバーを発見。それをスライドさせると、カチャリと金属製の鍵、メカニカルキーが出てきました。「おおっ!」と思わず声が出ました。次に問題なのはドアの鍵穴です。ドアノブ周りを見てもそれらしきものは見当たりません。再びスマホで「車種名 鍵穴 場所」と検索し、ドアノブの端にあるカバーを外す必要があることを知りました。メカニカルキーの先端で恐る恐るカバーをこじ開けると、確かに鍵穴がありました。鍵を差し込み、回すと、ガチャンと懐かしい音を立ててドアが開きました。車内に乗り込み、最後の関門であるエンジン始動です。これもネット情報に従い、ブレーキを踏みながら、電池切れのスマートキー本体をスタートボタンに押し当ててみました。すると、ボタンのランプが緑色に点灯!祈るような気持ちでボタンを押すと、ブルンとエンジンがかかりました。あの時の安堵感と達成感は、今でも忘れられません。スマートキーの便利さに甘え、完全に油断していました。この一件以来、メカニカルキーの使い方をしっかり覚え、予備電池を車内に置くようにしたのは言うまでもありません。便利なものほど、バックアップの重要性を忘れてはいけないと痛感した出来事でした。